経営事項審査(経審)は、公共工事への入札を希望する建設業者の経営規模経営状況技術力社会性などを客観的に評価し、それを点数化するものです。

経審の審査項目は定期的に見直されていますが、現在(令和4年4月1日時点)では次の項目について審査が行われています。

区分 審査項目 ウェイト
経営規模
X1
年間平均完成工事高 0.25
X2 自己資本額
利払前税引前償却前利益
0.15
経営状況
純支払利息比率
負債回転期間
総資本売上総利益率
売上高経常利益率
自己資本対固定資産比率
自己資本比率
営業キャッシュフロー
利益剰余金
0.20
技術力
工事種類別技術職員数
工事種類別年間平均元請完成工事高
0.25
その他の審査項目(社会性等)
労働福祉の状況
建設業の営業継続の状況
防災協定締結の有無
法令遵守の状況
建設業の経理の状況
公認会計士等数
研究開発の状況
建設機器の所有及びリース台数
国際標準化機構が定めた規格による登録の状況
若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
0.15

このページでは、各審査項目の概要と評価などについて記載させていただきます。

細かな点数の計算方法は省略していますが、経審の審査項目の全体像を把握するためにご利用ください。

各審査項目の詳しい説明は、各審査項目の専用ページで解説していますので、そちらもご覧ください。

経営規模 Ⅹ

経営規模評点Ⅹは、「工事種類別年間平均完成工事高X1」と「自己資本額と税払前税引前償却前利益Ⅹ2」の2つの指標から構成されています。

工事種類別年間平均完成工事高 Ⅹ1

建設業許可を受けた工事業種のうち経審受審を希望する業種について、2年(又は3年)の平均完成工事高から算出される点数です。

経営規模を点数化しようとするものですから、当然のことながら、完成工事高が多い方が高い評価を受けます。

自己資本額及び及び利払前税引前償却前利益 Ⅹ2

自己資本額とは、貸借対照表上、負債純資産合計から負債合計を差し引いた「純資産合計」のことをいいます。

また、利払前税引前償却前利益は「EBITDA」とも呼ばれ、営業利益に減価償却費を加えたものをいいます。

営業利益は企業の本業のもうけを表しますが、それに資金の流出を伴わない減価償却費を加えることにより、利払前税引前償却前利益はキャッシュベースの本業のもうけを表しているといえます。

M&A等で企業を評価するための指標として利用されたりするようですが、経審でも経営規模を評価する指標として利用されています。

>> 経営規模Ⅹのくわしい評価項目の内容、評点アップ対策などはこちらをご覧ください。

経営状況 Y

経営状況評点Yは、建設業財務諸表から経営状況を審査するものです。

負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つの項目について、それぞれ2指標ずつ、合計8指標から経営状況分析評点Yを算出します。

上記の指標は決算書の内容から読み取った数値から算出されるものですが、税理士さんが作成してくれた決算書を建設業法、建設業法施行規則で規定された「建設業財務諸表」に作成し直する必要があります。

この「建設業法財務諸表」に変換する作業を行う際に、ただ、税理士さんの作った決算書内容をそのまま変換するのではなく、建設業法令や経営事項審査等のルールに沿って数値を振り分けることで、点数アップにつながることがあります。

経営状況の分籍指標は、次の通りです。

分析指標 計算式 寄与度
負債抵抗力
純支払利息比率X1 (支払利息‐受取利息配当金)÷売上高×100 29.9%
負債回転期間X (流動負債+固定負債)÷売上高×100 11.4%
収益性・効率性
総資本売上総利益率Ⅹ3 売上総利益÷総資本(2期平均)×100 21.4%
売上高経常利益率Ⅹ4 経常利益÷売上高×100 5.7%
財産健全性
自己資本対固定資産比率Ⅹ5 自己資本÷総資本×100 6.8%
自己資本比率Ⅹ6 自己資本÷総資本×100 14.6%
絶対的力量
営業キャッシュフローⅩ7 (前期キャッシュフロー+当期キャッシュフロー)÷1億円÷2 5.7%
利益剰余金Ⅹ8 利益剰余金÷1億 4.4%

経営状況評点Yは、上記の指標から次の数式で算出されます。

経営状況評点Y=167.3×A(経営状況点数)+583
経営状況点数A=-0.4650×X1-0.0508×X2+0.0264×X3+0.0277×Ⅹ4+0.0011×X5+0.0089×X6+0.0818×X8+0.1906

>> 経営状況Yのくわしい評価項目の内容、評点アップ対策などはこちらをご覧ください。

技術力 Z

技術力評点Zは、建設業者の技術力を審査するため、次の工事種類別技術者数Z1と工事種類別元請完成工事高Z2から算出されます。

工事種類別技術者数 Z1

工事種類別技術者数は、技術力を評価する指標で、審査基準日時点で6ケ月を超える技術職員(業種ごとに定められた一定の資格又は実務経験のある方等)の人数を評価するものです。

実務経験より2級資格、2級資格より1級資格をもつ方が高い点数を得ることができます。

1級資格者の場合は「監理技術者」の資格を取得して講習を受講することで、最高の点数が与えられます。

工事種類別元請完成工事高 Z2

工事種類別元請完成工事高は、審査業種ごとの元請工事の完成工事高のことをいいます。

元請工事は、国や市町村からの公共工事や、民間事業者から直接請け負った工事のことですが、下請ではなく発注者から直接請け負うことで、その能力(ノウハウや信用等)があるものとみなし、技術力のある事業者としてその完成工事高を評価しています。

>> 技術力Zのくわしい評価項目の内容、評点アップ対策などはこちらをご覧ください。

その他の審査項目(社会性等) W

最後の社会性等評点Wは、次の10個の項目により評価されます。

社会性Wは、保険への加入建設機械の購入など分かりやすく点数の上げやすい審査項目で、配点も比較的高く設定されていますので、規模の小さい建設業者様はこれらの項目を少しでも多く満たせるよう努力するとよいでしょう。

労働状況福祉の状況 W1

社会保険・労働保険への加入建設業退職金共済(建退協)、法定外労災などへの加入退職金制度の導入をしていると加点されます。

これらは、従業員にとってどれも大切な制度ですから、従業員を雇用されている建設業者様については、すべて満たしていることが望ましいです。

建設業の営業継続の状況 W2

建設業許可を取得してからの営業年数が長ければ長いほど評価されます。

ただし、許可を取得してから5年が経過するまでは点数は付かず、5年を超えて35年までは年々点数が高くなっていき、35年を超える期間についてはそれ以上評価されないことになっています。

なお、休業営業停止処分があった場合、その期間は上記営業年数には含まれません

また、個人事業から法人化して新規に許可を受けた場合など、一定の要件を満たせば営業年数を引き継ぐことも可能です。

防災活動への貢献の状況 W3

公共団体等と地域の防災活動等に関する協定(防災協定)を結んでいる場合に評価されます。

公共団体等と直接防災協定を締結する方法の他、防災協定を締結している建設業の団体等に加入する方法でも防災協定に加入していると認められます。

法令遵守の状況 W4

建設業法第28条に基づく指示処分営業の全部又は一部の停止を命じられた場合に減点されます。

建設業の経理に関する状況 W5

建設業者の経理が適切に行われているかどうかを、「監査の受審状況」や「公認会計士等の数」により判断して評価されます。

監査の受審状況」とは、会計監査人・会計参与の設置、一定の資格を取得している経理責任者による自主監査が行われている場合に加点されます。

公認会計士等の数」とは、役員や従業員に、公認会計士会計士補税理士1級・2級登録経理士等の資格を持った方がいる場合に加点されます。

研究開発の状況 W6

この審査項目は、建設業者が研究開発にどれくらいの費用をかけているかが評価されますが、その対象は「会計監査人設置会社」のみとされています。

研究開発費が多いほど加点されますが、中小企業にはなじまないかもしれません。

建設機械の保有状況 W7

地域防災の備えとして、災害復旧時に出動可能な一定の建設機械を所有している場合、その台数により加点されます。

所有している建設機械だけではなく、審査基準日から1年7ヶ月以上の使用期間が定められているリース契約を締結している建設機械も加点の対象となります。

国際標準化機構が定めた規格による登録の状況 W8

国際標準化機構第9001号(ISO9001)又は第14001号(ISO14001)の規格による登録を受けている場合に加点されます。

ISO9001は、「よい製品(サービス)を作るためのシステムを構築してそれを管理する組織マネジメント」に関する規格です。

ISO14001は、「企業活動における環境リスクを分析し、そのリスクを低減するための仕組みを構築するための環境マネジメントシステム」に関する規格のことをいいます。

若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況 W9

若手の技術職員の育成の観点から、若年技術職員の採用及び教育に継続的に取り組んでいる建設業者を経営事項審査で評価しています。

具体的には、35歳未満の技術職員数技術職員全体の15%以上である場合に、若年技術職員の継続雇用に寄与しているとして加点されます。

また、審査対象年の1年間に新規荷雇用された35歳未満の技術職員技術職員全体の1%以上である場合にも、若年技術職員の新規雇用に寄与している加点されます。

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況 W10

雇用する技術者・技能者の知識及び技術又は技能の向上に努めている建設業者に対して、経営事項審査で加点評価されます。(技術者と技能者の違いなど少しややこしいですが、ここでは説明を割愛させていただきます)

具体的には、「CPD(資格認定団体等が実施する継続的な教育プログラム)の単位取得数」と「技能者の能力評価レベル向上」の2つの指標を算式に当てはめて算出された数値をもって評価されます。

>> 社会性等のくわしい評価項目の内容、評点アップ対策などはこちらをご覧ください。

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